今月の主題 膠原病—最近の考え方
膠原病の臓器病変のみかた
心血管病変
伊東 盛夫
1
,
山口 雅也
2
Morio ITO
1
,
Masaya YAMAGUCHI
2
1大分医科大学・中央検査部
2佐賀医科大学・内科
pp.1005-1009
発行日 1981年6月10日
Published Date 1981/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217211
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膠原病は,多臓器障害をきたす全身性炎症性疾患であり,心血管系の異常も高率に発症する11,17).古典的膠原病には,リウマチ熱,全身性エリテマトーデス(SLE),全身性硬化症(PSS),結節性多発性動脈炎(PN),多発性筋炎(PM),皮膚筋炎(DM),および慢性関節リウマチ(RA)が含まれる.このなかで,心臓病変が最も顕著にみられるリウマチ熱については,すでによく知られているので,ここではそれ以外の膠原病について述べる,リウマチ熱以外の膠原病のなかでは,SLEが一般人口における有病率が最も高く,かつ心血管病変も顕著であり,従来から病理学的,臨床的研究が多数集積されている5,12).そこで,まずSLEについて比較的くわしく述べ,それと比較しつつその他の膠原病について解説する.また,近年注目されているOverlap症候群とmixed connective tissue disease(MCTD)についても触れる.
表1に,文献および筆者らの成績に基づいて,これらの膠原病において臨床的に認められる心血管病変のおよその発現頻度の比較を示す.どの膠原病においても,大動脈やその分枝の大きい動脈,あるいは静脈系の障害はみられないか,みられても稀であり,本稿では心臓異常に重点をおいて述べる.
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