今月の主題 臨床栄養学—最近の進歩
今日における食事療法
腎不全
平田 清文
1
Kiyofumi HIRATA
1
1東邦大学医学部・腎臓病学研究室
pp.606-607
発行日 1981年4月10日
Published Date 1981/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217115
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病態栄養よりみた腎不全
腎不全とは腎臓学の定義によると,腎機能の低下に基づく体液恒常性維持(homeostasis)の機構に破綻をきたした病態を意味する機能的診断名であって,その発症のしかたにより急性および慢性腎不全に分けられる.換言すると,腎不全はその原因となる基礎疾患や種類に関わりなく発生する腎機能不全症候群であるといえる.
このような腎不全に対する治療法として,従来より原疾患の自然史(natural history)に即応した諸施策が保存療法として行われてきたが,その限界に達したものには透析療法や腎移植が行われている.保存療法はもともと原疾患があっても,病体を庇護し温存することを目的とするものであるが,その効果を客観的に評価することは必ずしも容易でないため,腎不全の臨床において保存療法の役割を広く認識することは困難であったといえるであろう.しかしながら,最近の食事療法の進歩は,腎不全症候群に対する病態栄養学的アプローチによって,多くの治療効果を明らかにしている.
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