臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
VI.代謝・栄養障害
慢性関節リウマチ VS 痛風
御巫 清允
1
,
西岡 久寿樹
2
Kiyonobu MIKANAGI
1
,
Kusuki NlSHIOKA
2
1自治医科大学・整形外科
2三重大学医学部・第3内科
pp.1992-1993
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216846
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なぜ鑑別が問題となるか
慢性関節リウマチ(RA)は代表的な膠原病の一つであり,関節滑膜における免疫異常に伴う炎症を基礎病変とした系統的な結合織の疾患群である.一方,痛風はプリン代謝異常に伴う高尿酸血症を基礎疾患とし,臨床的には主として関節滑膜における尿酸結晶に起因する超急性の関節炎である.この両者があえて鑑別を必要とする理由は,多くの痛風症例が,これまでいわゆるリウマチとして治療されてきていることである.また近年では,逆にRAに伴う高尿酸血症をしばしば痛風と診断して治療しているケースも散見する.
実際的に痛風とRAの合併症例はきわめてまれであり,Wallaceらによれば1881年の第1症例以降,わずかに7症例が報告されているにすぎない.これらのうちでも結核を合併したり,Felty症候群に伴っている場合などが多く,純粋な共存症例はきわめて少ない.それにもかかわらず本症にあえて鑑別が必要なのは,両者が関節炎という共通な臨床症状を有するからにほかならないからである.
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