論述
痛風治療におけるProblem Oriented Medical Record—診療記録からみた慢性疾患管理の方法論
西岡 久寿樹
1,2
,
御巫 清允
3
Kusuki NISHIOKA
1,2
,
Kiyonobu MIKANAGI
3
1自治医科大学予防生態研究施設
2虎の門病院痛風診療班
3自治医科大学整形外科学教室
pp.230-239
発行日 1975年3月25日
Published Date 1975/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905150
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はじめに
近年の情報科学の発展は医療の分野へも種々の形で影響を与えてきている.臨床医学分野においては,多くの情報を効率よく整理し患者の治療行為ヘフィードバックさせるための手法の開発が現在もつとも必要とされている.一方,情報の発生機構からみた場合,日常われわれの診療行為に際して発生している情報群は機能的に二つに分けられる.第1群は,主訴,生活歴,病歴そして多くの臨床検査などの生体現象の観測値など治療行為に伴い発生する情報群である.第IIの点は,それらのデータベースを生体の状態を表現する変数としてとらえ論理的に組み合わせて,疾病構造(モデル)を組み立てるための機能を有したものである.第I群の方法論に比較して後者の方法論の開発はきわめて不活発である.そのことは第I群のステップで発生した情報群を効率的に患者のケアヘフィードバックすることを著しく妨げている.一方では,患者の主訴などを始めとする多くの叙述的(Narrative)な表現と変数相互間の有機的関連性が論理的に説明できないなど情報流の面からも有効性が問題になつてきている.
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