病気のはなし
痛風
山中 寿
1
,
西岡 久寿樹
1
1東京女子医大リウマチ痛風センター
pp.964-969
発行日 1983年11月1日
Published Date 1983/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202890
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痛風とは,高尿酸血症に由来する特徴的な関節炎を主要症状とする代表的な代謝性疾患である.欧米においてはヒポクラテスの時代から知られていたのに対し,わが国の場合,明治時代にベルツが"日本に痛風なし"と明言したごとく非常にまれな疾患であった.しかし,戦後になってからはわが国の痛風患者は急激に増加し,血清尿酸値測定の一般化とも相まってごくありふれた疾患のひとつになるに至った.現在では痛風の有病率は全人口に対して0.2%と推定されており,日本では20万人以上の痛風患者が存在すると考えられる.このような増加の背景には食生活を中心とした社会環境の大きな変化が何らかの役割を果たしていると考えられており,その意味で,ある種の"文明病"といえなくもないが,痛風は本来ひとつの症候群で,その原因は非常に多岐にわたっており,環境変化はそのひとつの誘因にすぎないと考えたほうが妥当である.
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