今月の主題 今日の血液形態学
赤血球の形態異常
鉄芽球性貧血
厨 信一郎
1
,
野村 武夫
2
1日本医科大学・第3内科
2日本医科大学・内科
pp.1181-1183
発行日 1980年8月10日
Published Date 1980/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216622
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
細胞質に光顕レベルで観察しうる非ヘモグロビン鉄顆粒を持つ赤芽球を鉄芽球sideroblastと称し,正常ヒト骨髄においては赤芽球の30ないし50%を占めている1).鉄芽球のうち,多数の鉄顆粒が核をとりまくように配列しているものをとくに環状鉄芽球ringed sideroblast(カラーグラフp.1165,図4)と称し,骨髄における多数の環状鉄芽球出現を特徴とする一連の貧血症を総称して鉄芽球性貧血sideroblastic anemia(以下SA)と呼んでいる.本症は単一疾患ではなく原因はさまざまであるが,その発症機序はいずれもヘム合成経路の酵素異常に基づくと考えられている.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.