技術解説
ジデロブラスト(含鉄赤芽球)染色法
桝屋 富一
1
,
東 隆介
1
1九州大学医学部第三内科
pp.695-698
発行日 1961年11月15日
Published Date 1961/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905899
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緒言
赤血球内の遊離鉄については,かなり古くから記載があるが,脚光をあびて来たのは近年のことである。
1941年,Gruneberg1)は,ある種のマウスの貧血で,赤血球中にベルリン青(prussian blueあるいはBerlinblau)反応陽性の顆粒を見出し,これにシデロサイト(siderocyte,含鉄赤血球)と命名した。以後主として病的状態におけるシデロサイトの報告が見られるが,1947年,Dacie2)は骨髄の赤芽球中にも同様の顆粒が存在することを見出した。1954年に至り,Kaplan3)は,小児において,健康者を含む諸種疾患についてこれを追及し,決して病的状態においてのみ出現するものではないことを明らかにし,これにジデロブラスト(Sideroblast,含鉄赤芽球)と命名した。また彼は血清鉄とジデロブラスト出現率との相関を指摘し,これが鉄欠乏の重要な指標となることを述べている。
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