今月の主題 今日の血液形態学
白血球の形態と機能
顆粒球機能の異常
辻 芳郎
1
Yoshiro TSUJI
1
1長崎大学医学部・小児科学
pp.1184-1185
発行日 1980年8月10日
Published Date 1980/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216623
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はじめに
顆粒球は,食作用によって細菌に対する生体防御の主役を果たしている.骨髄で作られ,好中球,好酸球,好塩基球に分化するが,食作用の中心的役割を演ずるのは,大部分を占める好中球である.食作用を有する細胞は,そのほかに単球や組織の食細胞,すなわち肝のクッパー細胞,脳のグリア細胞,脾やリンパ節のマクロファージなどがある,骨髄内で成熟した好中球は,流血中に入り全身を循環し,毛細血管壁に付着して,内皮細胞および周皮細胞の間隙を通って血管外に出る.
炎症があれば,アメーバ様運動で引きつけられる物質(走化性因子chemotactic factor)に向かって移動する.これを走化chemotaxisという.走化性因子は,血清中の補体の活性により得られるC3a,C5a,C567やリンホカイン,ロイコエグレッシンや細菌,組織の代謝産物である.
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