紫煙考
喫煙と免疫能低下
大成 浄志
1
Kiyoshi ONARI
1
1広島大学医学部・第2内科
pp.1142-1143
発行日 1980年7月10日
Published Date 1980/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216612
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●灰皿の置いていない部屋
今,私はこの原稿を,ロスアンゼルスのVeterans Hospital(復員軍人病院)の中にある研究所の一室で書いているところです.こちらに来て,まだ1カ月ほどですので,米国の詳細な喫煙事情をお伝えできませんが,まず大変驚き,かつ感心したことは,ほとんどの部屋に灰皿を置いていないことです.もちろん私の部屋にも置いてありません.ドクターは,タバコを喫わないものと始めから決めているらしく,灰皿が要るかとも聞いてもらえませんでした.
カリフォルニア州は米国の中でも公共の場所での喫煙がきびしく禁じられていて,エレベーターはもちろん,建物の至る所に,"NO smoking",場所によっては"Positivelyno smoking"の札がかかっています.また,そのつもりで注意して観察してみますと,さすがにくわえタバコで街を歩く人はほとんど見られませんし,まして自動車の中からタバコをポイッと投げ捨てる人は見かけられません.カリフォルニアでは,火のついたタバコを投げ捨てることは法律で禁じられており,見つかると多額の罰金を取られます.
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