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はじめに
目測で包括的に左室収縮能を評価します!
前号ではFoCUS(focused cardiac ultrasound)の概念と基本断面の描出について解説を行いました1)。今月からFoCUSの主要評価項目・病態を、1つずつ取り上げていきます。今回は「左室収縮能低下」がテーマです。
呼吸困難やショック、胸痛に対して、FoCUSでは目測で包括的に左室収縮能を評価します。できるだけ多くのFoCUS観察断面1)で左室収縮能を評価することが望ましいのですが、左側臥位困難、時間的制約などにより、限られた断面で評価せざるをえない時もあります。系統的心臓超音波検査では、左室収縮能の指標、左室駆出率(ejection fraction:EF)は、左室径で計算するTeichholz法が用いられてきましたが、現在は心尖部四腔断面と心尖部二腔断面で左室内腔をトレースして計算するmodified Simpson法が標準となっています。一方、FoCUSでは(詳細な)計測を必須とせず、目測で半定量的に左室収縮能の評価を行います。目測の利点は素早く評価できることにありますが、検者依存性が高くなり「専門家以外の臨床医が行うFoCUSで、果たして役立つのか?」という疑問が生じますが、この点については後述したいと思います。
なお、左室機能の両輪である拡張能は、ドプラ法を用いた総合的な判断が必要であり、通常FoCUSには含まれません2)。しかし、左室肥大や左房拡大などの基本的な形態情報は、拡張不全の指標として参考になります。
*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2019年10月31日まで)。
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