今月の主題 慢性肝炎をめぐる諸問題
分類
臨床家の立場から
鈴木 宏
1
Hiroshi SUZUKI
1
1山梨医科大学・内科
pp.854-855
発行日 1980年6月10日
Published Date 1980/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216545
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慢性肝炎という病名は第二次大戦前にはなく,腹腔鏡および肝生検が行われるようになってはじめて認められたものである.最初は急性肝炎からの移行が注目され,肝硬変の前段階としての意義が強調された.その後,Weplerが急性汗炎の既往のない,いわゆる原発性慢性肝炎の存在することを認め,その成因について問題が提起された.1964年,Blumbergらのオーストラリア抗原の発見を契機として肝炎ウイルスに関する知見が進歩するとともに,慢性肝炎の成因についても新しい観点からの検討が行われるようになっている.
慢性肝炎の分類についても,慢性肝炎が主として組織学的所見を中心として診断されてきたことから,現在でも組織学的所見から行われているのが現状である.しかし,種々の臨床検査法の進歩に伴って,慢性肝炎の分類も臨床的立場(組織所見を含む)から改めて考え直すべき時期にきていると思われる.
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