今月の主題 最近の腎疾患の基礎と臨床
特異な腎疾患
IgA腎症
折田 義正
1
,
田中 敏博
2,3
Yoshimasa ORITA
1
,
Toshihiro TANAKA
2,3
1滋賀医科大学・第三内科
2大阪大学・病理学教室
3大阪大学・第一内科学教室
pp.548-549
発行日 1980年4月10日
Published Date 1980/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216485
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はじめに
IgA腎症は,1968年BergerとHinglais1)によりはじめて報告され,免疫螢光抗体法所見によって分類された一腎疾患単位として注目されている.かれらは,原発性腎炎でメサンジウムに,lgAを主体にIgG,β1Cグロブリンの沈着を認める一群の腎疾患,すなわち"nephropathy with mesangial IgA-IgG deposits"を報告し,翌年詳細な55例を記載した.そのご本症について諸家の報告がなされ,IgA,IgGの沈着ばかりでなくIgM沈着例や,さらにはearly componentsをなわないC3,properdineの沈着例もみられることから,alternative pathwayによる補体活性経路が示唆されるようになった.その沈着様式はびまん性でしばしば不規則に分布し,メサンジウム領域のみでなく融合して近接の血管係蹄にまで及んでいる例も認められる(図).
本症の糸球体病変は,しばしばfocal glomerulonephritisと述べられてきた.しかし,びまん性メサンジウム増生の上に巣状病変が加わった像が多く,このメサンジウム増生が唯一の光顕所見である,電顕的には,メサンジウム域,あるいはパラメサンジウム領域に大小いろいろなelectron dense deposits(EDD),典型的には大きな半球状沈着物(semishere deposits)が認められる.
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