特集 内科診療にガイドラインを生かす
腎・泌尿器疾患
IgA腎症
川村 哲也
1
1東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科臨床研修センター
pp.250-255
発行日 2013年11月1日
Published Date 2013/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107113
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内科診療に役立つ国内外のガイドライン
IgA腎症の診断と治療に関する国内のガイドラインとしては,「IgA腎症診療指針―第3版―(以下,第3版)」1)が現在汎用されている.この診療指針は,1995年に提示された「IgA腎症診療指針」と,これを一部改訂し2003年に発表された「IgA腎症診療指針―第2版―」に続いて2011年3月に刊行されたものである.初版および第2版の予後分類や治療指針が専門家の経験に基づくものであったのに対し,第3版では日本人のデータから導き出された科学的根拠に基づく予後分類となっている(表1a「特徴」参照).また,組織学的重症度分類の根拠となった「後向き研究」の成果は,2013年にJournal of Nephrologyに掲載されている2).その他に,「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2009」3)があるが,現在改訂作業が進んでおり,近々「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013」として公表される予定である.
国外のガイドラインとしては,2012年に発表された「KDIGO Clinical Practice Guideline for Glomerulonephritis(KDIGO GN)」4)がある.このエビデンスに基づく国際的に統一されたガイドラインを活用することで,IgA腎症に対する標準的な治療が可能になった.しかし,わが国におけるIgA腎症治療の現状と適合しない提言もあることから,日本における国際ガイドラインの適用という,これまでにない課題に直面することになった.
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