増刊号 Common Disease 200の治療戦略
腎・尿路疾患
IgA腎症
野本 保夫
1
1東海大学医学部内科学第7
pp.474-475
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904166
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疾患概念と病態
IgA腎症は1968年,BergerとHinglaisにより最初にその存在が報告された.糸球体メサンギウム領域にIgAを主体とする沈着物の存在を特徴とする.IgAがメサンギウムに沈着する病態としてはその他肝疾患,肺疾患などに続発する病態も知られているが,通常これらは含めない1).
最近,わが国において厚生省特定疾患調査研究班,日本腎臓学会の合同委員会より「IgA腎症診療指針」(表1)が発表されている1).診断は現在のところ,腎生検によるしかない.すなわち,免疫蛍光抗体法でメサンギウム領域にIgAがpredominantに沈着を認めることによる.また,光顕的にPAS陽性に染色される半球状の沈着物の存在も参考になる.光顕像は組織障害度および予後判定に重要であるが,その際,光顕組織標本のサイズが重要で,1mm×7mm以上の皮質組織が信頼性の高い診断を得るために必要である3).
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