今月の主題 最近の腎疾患の基礎と臨床
特異な腎疾患
サルコイドーシス腎
大沢 源吾
1
,
深川 光俊
2
Gengo OSAWA
1
,
Mitsutoshi FUKAGAWA
2
1新潟大学医学部・第2内科
2新潟大学医学部・内科
pp.544-546
発行日 1980年4月10日
Published Date 1980/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216484
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はじめに
サルコイドーシス(sarcoidosis,以下サ症)は病因不明の多臓器性,肉芽腫性疾患として知られている.臨床的には両側肺門リンパ節腫脹や肺病変,皮膚や眼病変の頻度が高く,組織学的な非乾酪性類上皮細胞肉芽腫の証明やKreim-Siltzbach皮膚反応が陽性であること,などが特徴とされている.臨床的な腎所見の出現は報告者によって異なるが,一般には患者の10%以下と低い1).しかし,Lebacqら(1970)2)の152例の分析では尿蛋白陽性36%,尿沈渣異常13%と高頻度であるのが目につく.また,この腎障害の病因も従来は腎における肉芽腫形成やサ症にみられるCa代謝異常と結びつけた報告が多かったが,サ症における免疫病態が解明されるにつれて,これまでは偶然の合併症とみなされてきた腎炎や血管病変も,サ症の病態とより密接に関係づけてみなおされるようになってきたことも注目される.
以下,サ症における腎障害をその成り立ちの面から4つに分けて略述したい.
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