今月の主題 血管炎とその臨床
血管炎を伴う諸疾患
川崎病と乳児型多発動脈炎
笹栗 靖之
1,2
,
加藤 裕久
1
1久留米大小児科
2久留米大第2病理
pp.2075-2079
発行日 1979年11月10日
Published Date 1979/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216283
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はじめに
川崎病は1967年,川崎富作博士により,狸紅熱に似て非なる疾患として初めて発表されたclinical entityである.当初,予後良好なる疾患とされていたが,死亡例が相次ぎ,それらの剖検所見より,川崎病の本態が冠動脈などの中型動脈を中心とする汎血管炎であることが示唆された.さらに生存例にもアンジオグラフィーにより高率に異常があることがわかり,中・小動脈を主に病変の場とする血管炎症候群であることがわかった.
こうした結果,川崎病は世界的注目を集めるとともに,他の血管炎,とくにpolyarteritis nodosa(多発性結節性動脈炎,以下PN)やinfantile polyarteritis(乳児多発性結節性動脈炎,以下IPN)との異同に重大な関心が払われるようになった,川崎病ははたして新しい疾患なのだろうか,またどうして最近このような血管炎が増加したのだろうか,などは重大な問題である.
PNは1866年,KussmaulとMaierにより発表された主として病理学的なentityである.また1930年頃より欧米において,PN様症例が2歳以下の乳幼児にもみられることがわかり,現在までに約80例ほどの報告を見る.この乳児型PNは成人のPNとやや異なる点があるとして,成人のPNをclassical PN(以下CPN),乳児型PNをIPNとして分けて扱われてきている.
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