臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
VII.血清検査
73.CEA
赤井 貞彦
1
1新潟県立ガンセンター外科
pp.1800-1801
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216177
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異常値を示す疾患
CEAはcarcinoernbryonic antigen(Gold)の略である.この物質は当初考えられたような大腸癌特異性はなく,他の多くの癌にも陽性化し,さらに種々の良性疾患や健常人の一部にさえも陽性化することが明らかにされている.しかしながら,その血中濃度の著明増加は癌患者のみにみられる特異的現象といっても過言ではなく,ここにCEAが臨床に重用されている理由がある.
ただしCEAには未解決の問題がある.それはこの物質が化学的,免疫学的に単一の組成ではないことである.CEAは分子量約200,000で糖を40ないし80%含む糖蛋白であるが,現在の測定法(後述)によって血中で検出されているCEAはNCA,NCA-2などいくつかのCEA様物質―CEA family―を包含した不均一な物質集団である.しかも,その不均一性は各臓器の癌ごとに異なっており,さらには個々の症例によっても相違していると推定される.WHOがCEAの標準化を試みながら未だ結論を得ていないのが現状である.
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