臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
VII.血清検査
72.α-フェトプロテイン
遠藤 康夫
1
1東大第1内科
pp.1798-1799
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216176
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異常値を示す疾患
α-フェトプロテインの異常を示す疾患は表に示すごときものがあげられる.健康成人の血中α-フェトプロテイン値はラジオ・イムノアッセイ(RIA)法で10ng/ml以下であるが,病的状態では10ng/ml以下から数百万ng/ml(数百mg/dl)にもわたって広く分布する.便宜上,二重拡散法ないし一元免疫拡散法により陽性となるものを著しく高い例,二重拡散法および一元免疫拡散法陰性だが,RIA法で陽性のものを軽度ないし中等度増加を示す例と分けて考えてみる.前者のおよその血中レベルは5,000〜10,000ng/ml以上である.
著しい高値を示すものとしては,原発性肝癌のうちの肝細胞癌および悪性奇形腫のなかのヨークザック(卵黄嚢)腫瘍があげられる.後者は,従来胎児性癌なる名称でよばれていたものであるが,胎生期ヨークザックの組織に類似した組織像を呈するため,最近はヨークザック腫瘍なる名称でよばれている.
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