技術講座 血清
CEAの測定法
大倉 久直
1
,
向島 達
1
1国立がんセンター病院臨床検査部
pp.799-804
発行日 1982年9月1日
Published Date 1982/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202576
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CEA(carcinoembryonic antigens;癌胎児性蛋白抗原)は,1964年カナダのGoldとFreedmanによって発見された,分子量約20万の糖蛋白質である.この物質が胎児の腸管や胎便中に存在する正常成分であるだけでなく,成人の大腸癌,直腸癌の腫瘍組織や血液中にも9割以上検出されると報告され,以来癌の免疫診断への応用に多くの努力がなされている.現在CEAは大腸癌でも作らぬ例があり,一方他の癌(胃,胆管,膵臓,肺,乳腺など)でも30〜60%の陽性例があることが知られている.また癌のみでなく,いくつかの良性疾患でも血清CEAの上昇することが報告されている.
血清中のCEAはナノグラム(1×10-9g,ng)のオーダーで存在し,その検出,定量には高感度なラジオイムノアッセイ(radioimmunoassay;RIA)や酵素免疫測定法(エンザイムイムノアッセイ,enzymeimmunoassay;EIA)が利用されている.測定用試薬キットも幾種類かあるが各キットの測定値が必ずしも1対1の相関を示さず,あるものは他法の2〜5倍の数字になるので,どの方法で測定したかが,値を読むときに重要である.この原因は,以下のことに起因している.
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