臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
III.髄液検査
23.髄液蛋白
濱口 勝彦
1
,
大野 良三
1
1埼玉医大神経内科
pp.1680-1681
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216127
- 有料閲覧
- 文献概要
異常値を示す疾患
髄液検査は神経疾患の補助診断法として今日最も広く行われ,かつ重要な位置を占めているが,とくに髄液蛋白に関しては近年電気泳動法および免疫電気泳動法の応用,また免疫化学的定量法の進歩により,さらに詳細な検討がなされつつある.髄液蛋白の増加は表1に示すように多くの神経疾患に認められるが,50〜150mg/dl程度にとどまる場合が多く,200mg/dlをこえるものは化膿性,結核性および真菌性髄膜炎,脳室内出血,クモ膜下出血,Guillain-Barre症候群などに限られる.また,脊髄腫瘍,クモ膜癒着などにより脊髄腔が遮断された場合には,ときに6g/dlにも及ぶ蛋白増加をみることがある(Froin徴候).
グロブリンの検査については従来よりPandy反応,Nonne-Apelt反応などが用いられてきたが,すでに本特集の第1集に詳述したように,Pandy反応は少量のアルブミンにも鋭敏に反応するためグロブリンに特異的とはいえず,γグロブリン増加のスクリーニング・テストとしてはNonne-Apelt反応を用いるべきである.また,4〜5mlの髄液を用い比較的容易に髄液蛋白分画を施行しうる現在では,むしろ蛋白分画測定をルチン検査とすることが望ましい.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.