技術講座 一般
髄液蛋白の分析
正田 孝明
1
1愛媛大学医学部附属病院検査部
pp.695-702
発行日 1995年8月1日
Published Date 1995/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902466
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新しい知見
脳脊髄液(cerebrospina fluid;CSF,以後髄液と略す)検査は脳・脊髄系の疾患が疑われるときに髄液を採集し,蛋白検査をはじめ多くの検査が行われるが,疾患の診断,経過観察に他の臨床検査を含めても,その役割は十分に果たされていないのが現状である.
近年,髄液中の蛋白の測定,髄液蛋白の分画,また各種蛋白成分(トランスサイレチン,α1-アンチキモトリプシン,トランスフェリン,フェリチン,リポプロテインアポE,β蛋白-タウ蛋白など)を定量することにより,アルツハイマー病およびパーキンソン病などに認められる痴呆度の診断や髄膜炎においてウイルス性,細菌性の鑑別が容易となり,また白血病が転移して中枢性白血病の発症を防止するために,これらの蛋白成分を定量することが病状観察に大きな指標となることが示唆された.各種髄液蛋白の測定が新たな臨床検査法として導入され,今までの臨床検査では不明であった中枢神経疾患の解明が進められることを期待している.
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