臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
III.髄液検査
22.圧と外観
大和田 隆
1
1北里大脳神経外科
pp.1678-1679
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216126
- 有料閲覧
- 文献概要
異常値を示す疾患
圧の異常(表1) 頭蓋内圧測定の方法には,脳室内,硬膜外,硬膜下,後頭下大槽および腰椎穿刺などがある.一般的に補助診断に利用されるのは腰椎穿刺法であるので,それについて述べる.頭蓋内圧とは,頭蓋および脊椎腔内の容積(脳,脊髄,血液,髄液,そして病的な状態での腫瘍や血腫など)の変化に対する容器(頭蓋や脊椎)からの等しい強さの反作用の力を,髄液を介して測定しているのである.したがって,圧の異常は単に髄液の問題のみでなく,脳実質,脳循環の変化も総合した所見として捉えなくてはならない.
Queckemstedt test 両側頸静脈を圧迫すると,正常例では100mmH2O以上の速やかな圧の上昇があり,圧迫を除くと圧は急速に下降し初圧に戻る.この圧の変動が速やかでないものを異常(Queckenstedt test陽性)という.異常を示すときは,くも膜下腔の閉塞(ブロック)を意味しており,その程度により完全ブロック,不完全ブロックという.このくも膜下腔の狭窄ないしは閉塞を呈する疾患は,脊髄腫瘍,脊髄外傷,椎間板障害,くも膜癒着などがあり,頭蓋内静脈洞血栓症にもブロック所見の得られることがある.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.