今月の主題 癌と免疫
担癌生体の免疫応答
制癌剤による免疫抑制
螺良 英郎
1
,
久野 梧郎
1
,
中山 柘郎
1
1徳島大第3内科
pp.1004-1006
発行日 1979年7月10日
Published Date 1979/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215953
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制癌剤と免疫抑制の問題点
癌患者における免疫能は発癌から担癌にわたって幅広く癌の進展や抑制に関係していることが指摘されている.T細胞機能を中心とする細胞性免疫能が担癌の過程に影響を及ぼしていることは免疫監視機構immunological surveillanceの上から注目されているところである.近年,T細胞のサブセットであるsuppressor T細胞の関与が実験腫瘍でも,また臨床例でも問題とされ,"suppressor-cell network"が抗腫瘍免疫状態の把握に重要となってきている1)(図1).
制癌剤の一部のものが副作用として宿主の免疫担当細胞を障害し免疫抑制作用をもたらすことは制癌剤開発の当初から認められていたところであり,この免疫抑制効果を逆に利用して自己免疫疾患等に免疫抑制療法が開発されてもいる.
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