治療のポイント
免疫抑制剤療法
螺良 英郎
1
1阪大第3内科
pp.1124-1125
発行日 1969年10月10日
Published Date 1969/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202830
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免疫抑制療法のあらまし
免疫現象にもとづく病的状態を広く免疫病(Imnunological diseases)とよんでいる.免疫病にはアレルギー疾患から,現在内科的に病因・診断・治療のうえで問題の多い結合織病まで含められている.免疫抑制療法は広義には,これらすべての免疫病の治療をさしているわけであるが,実際には自己免疫性疾患群を主な対象としている.外科の領域では疾病ではないが,臓器移植に際しての拒絶反応の抑制を免疫抑制療法とよんでいる.
なぜこのような治療法が問題となっているのか,その理由として1)免疫生物学や免疫化学の研究が進んだ結果,自己免疫病や移植免疫による反応などの発生機序が少しずつ明るみに出てきたことによって病因に直接結びつく治療法が求められつつあること,2)従来副腎皮質ステロイド剤が免疫抑制剤の1つとして汎用せられてきたが,本剤のみでは根治に導きえないこと,長期連用する結果,さまざまの不快な副作用の出現に悩まされ,さらにはステロイド剤から脱却・離脱することがきわめて困難であること,などの理由による.
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