図譜・消化器病の超音波診断 他検査法との対比による症例の検討
黄疸の鑑別と胆管閉塞性病変の診断
唐沢 英偉
1
,
大藤 正雄
2
,
守田 政彦
1
,
三木 亮
1
,
上野 高次
1
,
土屋 幸浩
2
,
木村 邦夫
2
,
五月女 直樹
2
,
江原 正明
2
1国立横浜東病院内科
2千葉大第1内科
pp.398-404
発行日 1979年3月10日
Published Date 1979/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215810
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はじめに
黄疸の診断,とくに肝内胆汁うっ滞と肝外閉塞性黄疸との鑑別は,早期に確実に行うことが必要である.その理由は,両者の治療方法がまったく異なること,また閉塞性黄疸の持続する症例の手術成績が著しく不良で,予後にも大きく影響することなどによる.黄疸は臨床症状や血液化学検査などからは,しばしば鑑別がむずかしく,胆管閉塞の有無を直接証明することが確定診断の上から必要となる,現在のところ,直接胆道造影法としてPTCやERCPが応用されている1),しかし,これらの造影法は患者に対して少なからず苦痛を与え,また術者の熟練を要する検査であり,日常臨床上簡便に実施できる方法とはいいがたい.
最近,超音波診断装置の開発,進歩は目覚しく,消化器疾患の分野にも広く超音波検査が応用されるようになってきた.とくに電子走査型リアルタイム装置(電子スキャン)を用いることにより,拡張した胆管ばかりでなく,従来の手動走査方式では描出が困難とされた拡張のみられない胆管の確実な描出も可能となった2〜4).このことは超音波検査が黄疸例に対する基本的診断法となりうることを意味する.また,精密検査法としてのPTCやERCPの適応や,それぞれの方法の選択についても超音波所見に基づいて決定することができる.
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