今月の主題 パーキンソン病とその周辺
パーキンソン病治療上の諸問題
病態からみた薬物療法
宇尾野 公義
1
1都立府中病院神経内科
pp.210-211
発行日 1979年2月10日
Published Date 1979/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215760
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はじめに
パーキンソン病(本態性パーキンソニズム,振戦麻痺)は中年期以後に初発する慢性進行性変性疾患(ときに若年発症,家族性のものあり)で,本態については錐体外路系,とくに黒質,尾状核を中心とするドーパミン(DA)代謝異常が明白にされ,治療面でも従来の副交感神経遮断剤とともにL-dopaを中心とした薬剤が広く用いられる,つまり,線条体におけるAch活性は抑制し,DA活性は高めるのが治療の原則であり,そのほか,病態に応じた適切な薬物の選択や投与法が重要となる.
本症周辺疾患として,線条体黒質変性症は被殻の萎縮変性が強く,黒質ニューロンの障害は軽度,線条体からのDA消失も少なく,L-dopaによる改善はみられない.進行性核上性麻痺は黒質,淡蒼球,視床下核,青斑核,上丘,動眼神経核,下オリーブ核,小脳歯状核などに広範なニューロン消失や神経原線維変化などがみられるが,視床や線条体は侵されにくく,同様にL-dopaの効果は期待できない.これに比し,Shy-Drager症候群の一部,正常圧水頭症の多くの例で,L-dopaの有効なものがみられる.
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