臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
VIII.神経・筋疾患
4.パーキンソン病の治療
薬物治療の原則
宇尾野 公義
1
1都立府中病院神経内科
pp.2118-2120
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208276
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はじめに
パーキンソン病(本態性パーキンソニズム,振戦麻痺)は大部分中年期以後に初発する慢性進行性変性疾患(時に若年発症,家族性のものあり)で,本態については錐体外路系とくに黒質,尾状核を中心とするドーパミン代謝異常が近年大きくクローズアップされ,治療面でも従来の副交感神経遮断剤とともにL-dopaを中心とした薬剤が広く用いられる.つまり線条体におけるアセチルコリン活性を抑制し,ドーパミン活性を高めるのが治療の原則である(図1).
本症の主症状は筋強剛,振戦,無動〜寡動である.その他独特な仮面様顔貌,脂顔,流涎,言語緩徐〜小声,前屈姿位,歩行緩徐および突進現象,書字障害・小字症,膀胱障害,便秘などを示すほか,洗面,食事,寝がえり,着衣,用便など日常生活動作にも著しい支障をきたし,また抑うつ,消極的,無気力,自己中心的,時に幻覚など精神症状を伴うこともある.これらの症状を観察しつつ薬物の効果を評価する.
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