今月の主題 パーキンソン病とその周辺
パーキンソン病治療上の諸問題
抗パーキンソン剤の使い方
安藤 一也
1
1国立武蔵療養所神経センター疾病研究第4部
pp.212-216
発行日 1979年2月10日
Published Date 1979/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215761
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はじめに
線条体の正常な働きにはドパミンとアセチルコリン系の動的バランスの保持が必要である.パーキンソン病では黒質病変によりドパミンの産生が著減し,線条体のドパミンの貯蔵不足を生じ,2系間のバランスが破れてアセチルコリン系が優位となっている.このようなバランスの破綻を回復する薬理作用をもった薬剤が抗パーキンソン剤とよばれるものであるが,この場合に優位となったアセチルコリン系を抑えるよりも,不足したドパミンを補充する薬剤が治療薬としてはより合理的であり,またその効果もすぐれている1).
薬物性以外の症候性パーキンソニズムや線条体黒質変性症などでは線条体のドパミン受容体が病変の主座に含まれることが多いので,ドパミンを補充しても効果は乏しく,現在のところ有効な治療法は見出されていない.
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