臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
XI.腎疾患
4.透析患者の合併症対策
肝炎合併患者の透析上の問題点
小出 桂三
1
1国立王子病院循環器科
pp.2276-2279
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208334
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
従来から透析室は肝炎のhigh riskの部門と考えられており,透析患者および医顔従事者の間にB型肝炎が多発したという事実が報告されている1).したがって,医療従事者にとって透析室における肝炎の発生を防止することは極めて重大な関心事である.このような意味から肝炎合併患者の透析をどのようにするかという問題は,現実的に重要な問題である.これまで透析における肝炎予防対策を示したものに,WHOのTechnical Report Viral Hepatitis(No. 512,1973,No. 570,1975)があり,わが国では透析療法合同専門委員会から出された「透析医療従事者のウイルス肝炎予防対策」(第一次案,昭和49年6月)(第二次案,昭和53年7月)と「東京都B型肝炎対策専門委員会答申」(昭和51年1月)とがある.しかし,最近のウイルス肝炎の研究の進歩はめざましく,たくさんの新しい知見が得られている.
本稿においては,まずわが国の透析施設における肝炎の発生状況を述べ,ついで筆者らの施設における肝炎発生の実態を報告し,その後,肝炎合併患者の透析上の問題点と透析室における肝炎予防対策について,述べてみたい.
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.