文献抄録
慢性肝炎の問題点,他
浦田 卓
pp.130-131
発行日 1966年1月10日
Published Date 1966/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201158
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慢性肝炎または肝炎後肝硬変の患者31名および栄養失調後肝炎の患者3名の病歴を,遡つて分析してみたところ,この両疾患の経過に有意の差のあることが判明した。
"2次的"慢性肝炎,すなわち急性肝炎にかかつた時点から追求できた慢性肝炎の患者では,経過は進行的であつた。そのうちのあるものにいたつては,糖性コルチコイドで持続的に治療したにも拘らず,黄疽が再発した。7年問の観察中に,13名のうち8名が死亡した。ところが,これと対照的に,"原発性"慢性肝炎,つまり偶然に発見された慢性肝炎の患者8名では,その経過と予後は,持続的に治療しないばあいでも、比較的良好であつたのである。これら患者の大部分は肝機能検査は不変であつたが,改善をみたものも2,3あつた。組織学的には,両群のあいだに本質的な差はなかつた。
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