連載 一目でわかるクリニカルレシピ
白血病治療の食事
近藤 英生
1
1川崎医科大学血液内科学 教授
pp.70-73
発行日 2019年10月20日
Published Date 2019/10/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.37.10_0070-0073
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白血病は、造血細胞(血液細胞)の腫瘍です。無治療の場合に日/週単位で急速に増悪する急性白血病と、月/年単位で緩徐に進行する慢性白血病に分類されます。また、腫瘍化する細胞の種類から、骨髄性白血病とリンパ性白血病に分類されます。わが国の死亡数は2016年で8,795人です。急性白血病の臨床症状には、白血病細胞の増殖による症状(発熱、肝脾腫、リンパ節腫脹、歯肉腫脹、骨痛など)と、骨髄での正常造血の抑制による症状(貧血、血小板減少による出血傾向、好中球減少による感染症)があります。治療は化学療法で導入し、適応がある場合は造血幹細胞移植が選択されます。白血病細胞を完全に除去し治癒に導く「Total cell kill」が治療の基本的考え方であり、そのために高度の骨髄抑制をきたしうる強力な化学療法が選択されます。疾患のベースに免疫不全が少なからず存在し、治療の影響で口内炎が存在するなどして食事摂取困難な場合も多くみられます。治療を受けるための体力を保持するためにも、栄養管理が重要になります。また、個人差はありますが味覚異常・嗅覚異常は化学療法に伴って少なからず出現するため、治療中にも食事面には配慮が必要です。化学療法でも嘔気・嘔吐をはじめとする消化器症状を高率に起こす薬剤を含むレジメンも多く、薬物療法(制吐薬)などによる予防的対処が重要とされており、経口摂取が不十分な場合には経腸栄養や経静脈栄養での栄養補給が必要になります。治療中の感染リスクも高く、合併症の有無などにより全身状態も個々により大きく異なるケースが多いため、患者1人ひとりの状態、生活の質(QOL)を考慮した栄養管理が重要になります。
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