今月の主題 白血病とリンパ腫
白血病の治療
高齢者白血病の治療
吉田 弥太郎
1
1京都大学医学部・第1内科
pp.58-59
発行日 1988年1月10日
Published Date 1988/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221478
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■高齢者白血病の特徴
高齢者白血病は,一般に60歳以上で男性が女性より好発し,急性白血病としての血液学的所見が揃っていないものが多い(非定型性白血病atypical leukemia,表).通常の急性白血病では,芽球が系統的かっびまん性に無制限に増殖するが,高齢者白血病では骨髄の細胞密度が低く脂肪髄に富む(低形成性白血病hypoplastic leukemia).白血病性芽球の数は急性白血病としての基準(骨髄有核細胞の30%)を満たしていても,芽球比率は血中・骨髄で低率である(low-percentage leukemia,oligoblastic leukemia).このような非定型性白血病は,急性白血病の5〜10%1)にみられ,貧血が著明で血小板減少や白血球減少を呈し,肝・脾・リンパ節などの臓器腫大もあまりなく,末梢血検査のみでは再生不良性貧血など汎血球減少をきたす疾患と誤診されやすい.しかし,末梢血で少数でも芽球がみられるし,骨髄検査とくに穿刺と生検で確診できる.
また,正ないし過形成骨髄で十分数の芽球があっても,芽球の急速な増加はなく臨床経過が緩慢なくすぶり型白血病(smoldering leukemia)も高齢者男性に多い.
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