臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
X.血液・造血器疾患
2.白血病の治療
急性白血病の免疫療法
大野 竜三
1
,
山田 一正
1
1名大第1内科
pp.2220-2221
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208313
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はじめに
急性白血病に対する化学療法の進歩はめざましく,完全寛解率の向上と生存期間の着実なる延長を認めている.しかしながら,抗白血病剤による維持療法にもかかわらず,大部分は再発し,死の転帰をとるのが現状である.したがって,化学療法に加える他の治療法の開発が切望され,その一手段としての免疫療法は,Mathéらの小児急性リンパ性白血病に対し有効であったとする報告1)来,各種の方法で急性白血病に対し試みられている.
しかるに,人癌の免疫療法の施行に当たっては免疫療法の対象とする腫瘍に免疫が効果を発揮しうる抗原すなわち腫瘍特異抗原が存在していることの確認が必要であり,この特異抗原の存在の証明なしには,免疫療法の妥当性はえられない.したがって,本稿ではまずこの問題を明らかにし,ついで癌の免疫療法の原則にふれ,最後に現在筆者らが試みつつある急性白血病の免疫療法のポイントにつき述べる.
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