臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
X.血液・造血器疾患
1.貧血の治療
鉄欠乏性貧血における鉄剤の使い方
岡崎 通
1
1三重大第3内科
pp.2186-2189
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208301
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はじめに
貧血の診療に際しては,貧血は病名ではなく,症状であるという認識が重要である.しばしば貧血の原因の追究およびその治療が放置され,症状である貧血のみが診断,治療の対象となっている.特に鉄欠乏性貧血の原因には消化管出血が多く,鉄欠乏が治療可能な初期の癌の最初の所見であることがある.鉄欠乏性貧血の発見には,自覚症の有無はあまり参考にはならない.貧血は高度であっても,長年にわたる場合,患者は鉄欠乏状態に適応し,また患者自身が真の健康を知らないために,比較の対照がなく,問診では自覚症状がないということになる.鉄欠乏を是正してやると,初めて治療前の病的状態を認識できるようになる.鉄欠乏には貧血を呈するまでにその前段階があり,すべてが治療の対象となる.鉄欠乏の診断は,鉄欠乏の確認とその原因の発見,治療は鉄欠乏の原因の除去あるいは治療と鉄剤による鉄欠乏の是正と,各々が2つの要素からなる.
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