連載 Focus On
鉄剤不応の鉄欠乏性貧血
藤原 亨
1
,
張替 秀郎
2
1東北大学病院検査部
2東北大学大学院医学系研究科血液免疫病学分野
キーワード:
鉄剤不応性鉄欠乏性貧血(IRIDA)
,
ヘプシジン
,
TMPRSS6遺伝子
Keyword:
鉄剤不応性鉄欠乏性貧血(IRIDA)
,
ヘプシジン
,
TMPRSS6遺伝子
pp.300-303
発行日 2022年2月1日
Published Date 2022/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika129_300
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鉄欠乏性貧血(IDA)は,ヘムの構成成分である鉄が体内で不足することにより,Hbの合成が低下することにより起こる小球性低色素性の貧血である.IDAは通常,経口鉄剤の投与と鉄欠乏をきたした原因への対応で治療され,多くの症例で改善を見込める疾患であるが,日常診療において難治性症例に遭遇することがある.原因としては,単純な服薬アドヒアランスの問題のほか,鉄剤の吸収不全,鉄以外の造血因子の欠乏,他の未診断貧血疾患の併存などがあげられる.またTMPRSS6遺伝子の変異に伴う遺伝性の鉄剤不応性鉄欠乏性貧血(IRIDA)も知られている.本症では肝臓におけるヘプシジンの産生亢進に伴い,鉄の腸管からの吸収,および老廃赤血球を処理した貪食細胞からの鉄の再利用が抑制される.
© Nankodo Co., Ltd., 2022