臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
X.血液・造血器疾患
1.貧血の治療
鉄欠乏性貧血の食事療法
長谷川 淳
1
1北大第1内科
pp.2190-2191
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208302
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鉄欠乏性貧血の原因1〜3)
鉄欠乏性貧血はあらゆる年齢層の男女両性にみられるが,その原因として多量の出血による鉄分の損失と,食事性不足による鉄欠乏などがあげられる.15〜50歳の女性では著しく出現頻度が高く,男性は女性に比して明らかに少ない.
男性の場合は,正常の状態では鉄の排泄は少なく,0.6〜0.7mg/日が腸粘膜上皮・皮膚上皮,腎や膀胱上皮の脱落によって失われる.一般的に1日の食物中には10mg前後の鉄が含まれていて,そのうち6〜10%が吸収される.したがって,吸収鉄量と排泄鉄量とはバランスが保たれている.しかし,身体の発育に伴う全血液量,筋肉量,組織量の増加は当然鉄需要の急激な増加をもたらすので,成長期の子供や女性の場合には鉄の需要が大きく,食物の内容が鉄欠乏の発症に大きな影響がある.出生時母から引き継いだ300mgの体内総鉄量が,成長期には3〜4gになるので,それを充足するためには前述の0.6mg/日が必要となる.
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