特集 これだけは知っておきたい治療のポイント
IX 血液・造血臓器
1.貧血の治療
鉄欠乏性貧血における鉄剤の使い方
山口 潜
1
1虎の門病院血液科
pp.1882-1883
発行日 1973年11月20日
Published Date 1973/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205149
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鉄剤は鉄欠乏性貧血の特異的治療剤である.鉄欠乏性貧血は日常診療上しばしばみられる疾患で,低色性小球性貧血・血清鉄値低下・不飽和鉄結合能上昇をみ,鉄欠乏を原因とする貧血の総称である.骨髄液では赤芽球は数的に増加するが形態学的に核の成熟に比して原形質の成熟の遅れを認あ,また原形質内可染鉄顆粒をもつ赤芽球(鉄芽球=ジデロブラスト)は著減する.低色性貧血の大多数は鉄欠乏によるもので鉄療法によく反応するが,わが国でもまれにみられるサラセミア・鉄芽球貧血・ピリドキシン反応性貧血なども低色性ではあっても血清鉄は高値を示し,鉄療法に不応である.
鉄欠乏性貧血の原因としては鉄の消化管からの吸収障害と鉄の喪失(消化管・子宮・泌尿器からの出血)が主なものである.疾患としては本態性低色性貧血・失血性貧血・寄生虫性貧血(とくに十二指腸虫症)・Banti症候群・胃切除後貧血などに分類され,他に妊娠・内分泌疾患・腎疾患・悪性腫瘍などに合併することがある.
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