治療のポイント
鉄欠乏性貧血—鉄剤の使い方
山口 潜
1
1東大第2内科
pp.1451-1453
発行日 1970年9月10日
Published Date 1970/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203336
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
鉄剤は鉄欠乏性貧血の特異的治療薬として第1に挙げられる.鉄欠乏性貧血は日常診療上もっともしばしば遭遇する貧血で,低色性小球性貧血・血清鉄値の低下・不飽和鉄結合能の上昇をみ,鉄欠乏を成因とした貧血の総称である.骨髄液では赤芽球は数的に増加し,成熟障害像を示す.原形質内可染鉄顆粒をもつ赤芽球(ジデロブラスト)は著減する.低色性貧血の大多数は鉄欠乏によるもので,鉄剤投与によく反応するが,わが国でもまれにみられるサラセミア・鉄利用不能性貧血・ピリドキシン反応性貧血なども低色性で,血清鉄は高値を示し,いずれも鉄療法に不応である.
鉄欠乏性貧血の原因にはかなりいろいろのものがあり,本態性低色性貧血・失血性貧血(消化器,痔,子宮など)・寄生虫性貧血(とくに十二指腸虫症)・Banti症候群・胃切除後貧血などに分類され,他に妊娠・内分泌疾患・腎疾患・悪性腫瘍などに合併することがある.
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.