今月の主題 高血圧の問題点と最近の治療
高血圧の診断と予後
症候性高血圧のみつけ方
小沢 幸雄
1
1慶大内科
pp.1380-1383
発行日 1977年10月10日
Published Date 1977/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207395
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はじめに
最近の臨床検査の著しい進歩・普及は,種々の疾患の診断に大きな指針を与えているが,高血圧という病態の場合,検査をしてもなお原因疾患を明らかにし得ないため,除外診断として本態性高血圧(以下「本高」と略)と呼ばれるものが壮年期以後のもので90%以上,二次性高血圧の多いといわれる若年者高血圧でも70%以上を占めている.他方,病因の明らかな二次性高血圧は「本高」と相違する症候を呈するものが少なく,検査によってはじめてそれとわかるものが多い.それだけに文字通りの症候性高血圧がずばり二次性高血圧とはいえない憾みがあり,臨床検査の重要性を裏書きするものである.しかし,すべての高血圧患者に確定診断のたあの特殊検査まで無差別に全部網羅して行うことは,経済的にもまた医療設備の上からもなかなかできにくく,無駄も多い.それゆえできるだけ初診時における病歴の聴取と現症の観察から,数少ない症候を見出すとともに,一般のルーチン検査に高血圧のスクリーニング検査を加えて,どの二次性高血圧のグループに入るものか的を絞り,確定診断に必要な精密検査を限定して施行し,総合判断していくことが必要である.
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