臨時増刊特集 日常役立つ診療技術
治療篇
19.腹膜および血液透析
杉野 信博
1
,
下村 旭
1
,
湯村 和子
1
1東女医大内科
pp.2058-2060
発行日 1976年12月5日
Published Date 1976/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206956
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腹膜透析
原理 透析の原理は図1のごとく,セロファン嚢の中に血漿を入れ,外側にリンゲル氏液のごとき透析液を置いた場合に,よりよく理解される.透析膜は通常平均30A前後のporeが無数に開いているので,水はもちろん電解質,尿素,尿酸,クレアチニン,ブドウ糖のような小分子の物質を自由に通過させることが可能であるが,高分子の蛋白,ポリペプチド,あるいはウイルス,細菌などは全く通過しない(ただし膜に裂孔などがあれば別),したがって,膜を介する拡散(diffusion)によって血漿側から尿素,クレアチニンなどが通過するが,透析液と濃度勾配が等しい電解質はmetとしての動きはない.しかし濃度差を作った場合(たとえばカリウムは一般に透析液側に低くする),その物質は濃度の高い側から低い方へ移動する.次に透析に関与する力としては浸透(osmosis)があり,通常,透析液にブドウ糖を加えて浸透圧を上げ,高浸透圧として血漿側から水を移動させる.腹膜透析の場合,市販のものはブドウ糖濃度1.5および7%のものがあり,患者の浮腫状態から適当に混和して用いる.第3の力としては血漿側に働く陽圧であり(あるいは透析液側に陰圧を加えてもよい),超濾過(ultrafiltration)といわれ,これは血液透析において作用する力である.
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