高齢腎不全患者のバスキュラーアクセスを科学する
血液透析から腹膜透析へ移行すべき時期
武本 佳昭
1
,
長沼 俊秀
1大阪市立大学 大学院泌尿器病態学
キーワード:
血液透析
,
腎不全-慢性
,
腹膜透析
Keyword:
Kidney Failure, Chronic
,
Renal Dialysis
,
Peritoneal Dialysis
pp.972-980
発行日 2016年6月20日
Published Date 2016/6/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2016273603
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
<Point>血液透析(HD)は医療機関で間欠的に行う治療であり、腹膜透析(PD)は患者自身が在宅で行う治療なので、積極的な社会復帰を志向する患者にはPDが適している。積極的移行においては患者の治療への参加意思と社会復帰志向が必要である。腎代替療法開始時から患者の志向は大きく変わらないと考えられるので、実際には積極的移行は少ないと考える。消極的移行は本質的に透析困難症であり、高齢化・糖尿病性腎症に関連して心血管系合併症が増加するため消極的移行も増えていくと考えられる。HDおよびPDの治療法の移行については、圧倒的にPDからHDへの移行が多く、HDからPDへの移行頻度の50倍程度になっていることがわかった。HDからPDへの移行は患者の高齢化および糖尿病性腎症の増加に伴い消極的移行が増加すると考えられたが、PTAなどの進歩に伴いバスキュラーアクセスロスに移行は減少していると推察された。
Copyright © 2016, Nihon Medical Center, Inc. All rights reserved.