今月の臨床 子宮外妊娠—up to date
特異な子宮外妊娠への対応
19.腹膜妊娠
黒部 来
1
Itaru Kurobe
1
1高松市民病院産婦人科
pp.397-399
発行日 1993年4月10日
Published Date 1993/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901243
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腹腔妊娠は,厳密には原発性腹腔妊娠と続発性腹腔妊娠とに区別される。本疾患は迅速的確な診断が下されなければ,その後の診療の適否が母体の生命に重大な結果をもたらす可能性がある。腹膜妊娠の発生機序としては,妊卵が直接腹膜面に着床し,発育し続けるのが原発性腹膜妊娠であり,子宮または卵管内に一度着床発育したものが,流産もしくは破裂により腹腔内に脱出して発育し続けるものを,続発性腹膜妊娠としている。
通常腹膜妊娠といわれるものは,続発性であって,原発性はきわめて少ない。発生頻度は文献によりかなり差がみられる。Hallattら1)は1,475例の子宮外妊娠中21例(1.4%)に認められたと述べている。Studdiford2)の原発性腹膜妊娠の診断根拠は,①卵巣卵管が正常で最近妊娠したことがないこと,②子宮腹膜に裂孔のないこと,③着床部は腹膜に限るとの3点である。
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