臨時増刊特集 日常役立つ診療技術
治療篇
17.輸液—プラスマフェレーシス
鳥居 有人
1
1国立病院医療センター外科
pp.2051-2053
発行日 1976年12月5日
Published Date 1976/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206954
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プラスマフェレーシス(plasmapheresis)とは,1914年Abel, J. J1).らがはじめて使用した語で,血液の有形成分を元に戻して血漿だけを採取するとの意味である.彼らは動物から大量の血漿を採取する方法として発表したのであるが,第2次世界大戦で大量の血漿が必要となったため,この方法を人血に応用する考えをCo Tui2)らが1944年に発表した.しかし,当時の手技は極めて原始的なもので,ガラス瓶中に採血したものを遠沈し,血漿を抜き取るため,無菌操作の面で完全とはいえなかった.その後Plastic bagが輸血器具として用いられるようになってから,急速にplasmapheresis(以下P. Pと略す)が普及した.日本語としては血球返還採血という語旬が使われているし,血漿除去後,正常血漿を血球に混じて返還する作業をくり返すのをplasma exchange(交換血漿)と称している.
もちろん本文は治療技術としてのP. Pについて述べるのが目的であるが,現在,P. Pが実際に行われているのは臨床より血液銀行業務として血液製剤の材料を調達するためである.
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