臨時増刊特集 日常役立つ診療技術
治療篇
16.輸液—小児の輸液療法
佐藤 仁
1
1三井記念病院小児科
pp.2048-2050
発行日 1976年12月5日
Published Date 1976/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206952
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戦後乳幼児の死亡率が激減したのは,抗生物質療法と輸液療法の発達によるところが大きい.乳幼児は成人よりも,はるかに脱水症を起こしやすく,脱水症に対して輸液療法は救命的な効果がある.したがって,小児科医はその手技に熟達するとともに,輸液療法の意義を正しく理解しておく必要がある.
かつて輸液療法の主な対象であった疫痢,消化不良性中毒症,重症アセトン血性嘔吐症(周期性嘔吐症,自家中毒症)などはほとんどなくなり,現在,輸液療法の主な対象となっている脱水症は,以前よりはかなり軽症である.したがって,これらの脱水症に対する輸液量は以前よりは少なくてよいと考える.また,腎不全に対しては腹膜灌流や血液透析が行われており,現在では腎不全に対して輸液療法を行うことはあまりないから,ここでは一般の脱水症に対する輸液療法についてのみ述べる.
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