今月の主題 血液凝固検査と合成基質
技術解説
プラスミノゲン,プラスミンの測定
松田 保
1
Tamotsu MATSUDA
1
1東京都老人総合研究所生理学部臨床第二生理研究室
pp.863-867
発行日 1983年8月15日
Published Date 1983/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911936
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プラスミノゲンは,フィブリンを溶解する酵素であるプラスミンの前段階物質である.その測定法としては,プラスミノゲンを含む検体にウロキナーゼまたは少量のストレプトキナーゼを加え,これをプラスミンに転化させるか,またはこれに大量のストレプトキナーゼを加えてプラスミノゲンとの複合体を生ぜしめ,そのいずれかの蛋白質分解作用を測定する方法(活性測定)と,抗原—抗体反応を応用してその濃度を測定する方法(一次元免疫拡散法;SRID法)とがある.活性測定法のうち,プラスミノゲンを含まないフィブリン平板上に検体を載せ,その溶解面積を測定する方法は,検体から抗プラスミンを除去する必要がある点が難点である.これに対し,ストレプトキナーゼとプラスミノゲンの複合体がフィブリンを分解しないが,ある種の合成基質を分解することを利用した発色合成基質法は,この複合体に対する強力な阻止物質が存在しない点が有利で,広く用いられつつある.
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