今月の主題 知っておきたいリハビリテーションの技術
その他
慢性閉塞性肺疾患のリハビリテーション
古賀 良平
1
1国療東京病院理学診療科
pp.1093-1095
発行日 1976年8月10日
Published Date 1976/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206694
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はじめに
最近,わが国でも国民の平均寿命の延長,大気環境汚染などによる慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary diseases,COPD)の増加が大きな社会問題となっており,公害肺疾患認定患者数も相当な数にのぼっている1).公害認定慢性閉塞性肺疾患とは,慢性肺気腫,慢性気管支炎,気管支喘息,喘息性気管支炎をさすが,ともに咳嗽・喀痰増加,閉塞性気道障害,呼吸困難をきたす疾患で,進行すれば慢性肺気腫や慢性気管支炎のように,肺組織に不可逆性の変化を起こし,著しい労働能力の低下はもちろん2),呼吸不全から肺性心へと移行し,死への危険も孕んでいる.このような患者は,急性増悪をくり返すたびに少しずつ悪化していくので進行性ともいえるわけで,急性増悪を防止し,現状を維持することが,それ自身ひとつの治療法であり,いまひとつの対策は,現に残存している呼吸機能をいかに有効に利用して,可能な限り社会人として,また,家庭人として生き甲斐のある生活をさせることができるかということである.このようなリハビリテーションが,実際にはどのようにしてなされるかをあげてみたい.
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