今月の主題 SLE—成因から治療まで
SLEの基礎
遺伝学の立場から
柳瀬 敏幸
1
,
梶山 憲治
1
1九大第1内科
pp.1902-1907
発行日 1975年12月10日
Published Date 1975/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206326
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一般に,遺伝性疾患といえば単純遺伝の病気disease of simple inheritanceを想起しがちである.これはヒトの46個の染色体に縦に一列に並んでいるおよそ40,000個の遺伝子のうち,ただ1個か2個め遺伝子がふつうとは違っているために起こる病気で,そのほかの39,998個または39,999個の遺伝子ならびに環境は病気の発現にさほど重要な役割をはたしていないものである.このような単純遺伝の病気のなかで人々の注意を最も惹くのは常染色体性優性または伴性優性の遺伝病で,縦の世代にわたって規則正しく,つぎつぎと多数の罹患者が出現する.
しかし,このような病気は,遺伝性疾患全体からすれば,ごく一部を占めるにすぎない.大部分の病気は数多くの遺伝子と環境とが複雑に働き合って成立するもので,日常身近な病気でいえば,本態性高血圧症や糖尿病などがそれに当たり,おそらく先天異常のおよそ80%がこのような遺伝のしくみによると推測される.
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