今月の主題 SLE—成因から治療まで
SLEの基礎
細胞性免疫の立場から
桜美 武彦
1
1京大・第2内科
pp.1900-1901
発行日 1975年12月10日
Published Date 1975/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206325
- 有料閲覧
- 文献概要
SLEの病理組織像
SLEの細胞性免疫,言葉を変えていえばSLEと感作リンパ球とのかかわりあいをみるためには,その病理組織学的な特徴を理解する必要がある.しかしながら,本症には特有の臓器病変がなく,結合組織の系統的病変であるとされているが,一般にいわれている①膠原および細胞外結合組織の類線維素性退行変性,②汎発性血管炎,③細胞核の変性とヘマトキシリン体の形成,④リンパ系組織の過形成ならびに形質細胞とリンパ球による病巣への細胞浸潤の4つが特徴的な形態学的変化としてあげられている.とくに4番目の病巣へのリンパ球浸潤が細胞性免疫の立場からは注目されなければならない.
一方,近年ステロイド剤の使用により本症の経過および予後は著しく改善されたが,なお死に至る病であり,その死因となるものは腎不全,心不全,感染症次いで中枢神経障害の順である.周知のごとく本症の治療には大量のステロイド剤が使われる関係上,その重篤な副作用の主なるものは感染症であり,これによる死亡はSLEによる直接死因とはいい難い.しかしながらステロイド剤や免疫抑制剤が本症に広く使用され,その効果が著明なことから,これら薬剤の有効な免疫担当細胞,すなわちリンパ球系の細胞が本症の病因にとって非常に重要な鍵であることを物語っている.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.