特集 若き産婦人科医へのメッセージ
遺伝学の立場から
増﨑 英明
1
1地方独立行政法人佐世保市総合医療センター理事長・院長
pp.75-80
発行日 2023年12月1日
Published Date 2023/12/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.30.04_0075-0080
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メンデルによる遺伝の法則は1865年には報告されていたが,1900年まではほとんど知られることがなかった。一方,ダーウィンによって唱えられた進化論は,20年間,報告されることなく秘められていた。遺伝と進化に関する研究は,推計学を含めた幅広い研究へと発展した一方,後世に問題とされる優生学へも連なった。やがて両者は,同じ生命現象を違った角度から研究する学問として捉えられるようになり,以後の遺伝学は理論と技術の両面において目覚ましい発展を遂げて今に至っている。遺伝に限らず学問は,一直線に進むとは限らない。また手にした方法論は必ずしも人の役に立つとも限らない。遺伝領域のような進歩のスピードが速い学問ほど,得られた成果が人のためになるかならないか,見極めながら研究を進めることが必要ではないだろうか。
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