今月の主題 SLE—成因から治療まで
SLEの基礎
ウイルス感染症の立場から
鳥飼 勝隆
1
,
森 伊津子
2
1名衛大・内科
2慶大・内科
pp.1908-1909
発行日 1975年12月10日
Published Date 1975/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206327
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SLEには液性免疫あるいは細胞性免疫の異常が関与していると考えられるが,その発症機序1)はまだ明らかにされていない.しかし近年,SLEの腎糸球体にウイルス様の構造が電顕で証明2)されたり,抗ウイルス抗体価がSLEでは高値を示す3)ことなどがきっかけとなって,ウイルス感染説が注目されるようになった.一方,動物実験では,ニュージーランド系マウスに自然発生する自己免疫病変の誘因にRNA型腫瘍ウイルスが考えられている4).また,RNA型腫瘍ウイルスをマウスに実験的に接種すると,高率に抗核抗体(ANA)が出現する5)ことからも,ウイルスと免疫異常とは深い関係にあることがわかる.しかし,ヒトのRNA型腫瘍ウイルスの存在についてはまだ確証がない.ところが最近,ヒトのSLEのリンパ球にRNA型腫瘍ウイルスと共通の抗原が証明されだとの報告6,7)がある.これが事実ならばRNA型腫蕩ウイルスがヒトのSLEの発症に関与することも予想できるわけである.このようにSLEの発症機序の解明には,ウイルス感染の立場からの検討がどうしても必要である.そこで,最近SLEとの関連から注目されている2,3のウイルスについての知見を述べる.
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